黒井ひとみさん『聖裸月』感想

拝啓、セーラームーンになれなかった私へ

 

22歳になっても、22歳になった今だからこそ思うことがある。

 

「なんで私、セーラームーンになれなかったんだろう」って

 

新卒で会社に入らないと人生終わりだという周りに後押しされ社会人になる努力はしてみたものの、社会からは全く必要とされず。ここ笑うところです。

なんかもうこのまんま死んだ方がいいなと思ったりもして。

そんな中で思い出すのがセーラームーンに憧れていた頃なんだよね。

あの頃本気でなれると思ってたよ美少女戦士に。

もうこの歳になったらなれないこともわかってるけど本当はずっとずっと渇望していたんだ。

 

そんな中で黒井ひとみさんが夢を叶えてくれた。

タイトルは「聖裸月」

 

タイトルからして、ふざけてる演目なのかな?とか思ってたら全然違った。 

ひとみさんは本当に美少女戦士を体現してくれた。

いつも私は踊り子さんのことを美少女戦士に憧れたあの頃と同じ感覚で眺めていた。

憧れと恋慕と劣等感となりたいものになれなかった一抹の後悔と。そんなものを綯交ぜにした毒々しい感情で。

 

 

ひとみさんはステージの上でステッキを回し、裸になって、変身して、、

美少女が変身の合言葉を言い、ベールと光に包まれて体は白くて細くて無駄な肉もなくとても綺麗で

 

本当にそのまんまだった。

ベールは着物の帯で、光はスポットライト。

戦士はもちろんひとみさんで。

友達や運命の人を守る、

憧れた美少女戦士そのまんまだった。

 

私はこの演目を初めて観た時、恥ずかしいくらいに泣いてしまった。あーほんとに美少女戦士はいたんだってわかったから。

私は結局「美少女戦士なんているわけないじゃん笑」と自分の中で腑に落として逃げていただけなんだ。なんの努力もしないで。

容姿や才能や生まれた環境のせいばかりにしていた過去のツケが今に廻ってきている。だから私は新卒思想に苦しんでいるんだってわかってしまった。

 

ひとみさんは踊り子さんなのによく自虐で「自分なんて全然」みたいに言うけど、誰もが憧れる美少女戦士だよ。

性を魅せる舞台で、こんな鬱屈とした気持ちを抱えた人間の気持ちも救ってくれる。

 

ストリップ ダンサーは性もコンプレックスも劣等感も受け入れて、そんな重圧の中孤独なステージに立っている。

私は美少女戦士になれなかったから、彼女たちのことを恋慕と同じくらいの比重で羨ましいと思いながら眺めている。

 

聖裸月、大好きだ。

沢山の女の子に見てほしい。

美少女戦士は本当にいるよ、